galaxy Xmas

音楽の持つ魔法について考える。どんなに悲しい出来事が起こっても、それを聴くだけでとたんにハッピーになってしまう不思議について。それは、ふわふわの羽のようでも在るし、ぽかぽかした午後の暖かい空気のようでも在るし、やがて皆が帰ってくるお家のようでもある。自分だけがキャッチ出来るビリビリしびれちゃう電波のようなものでもあるし、ギュッとつかまえられて息が出来ないくらいのスピードでどこかへ連れさられてしまう感覚や、クラクラめまいがするような感覚でもある。そういう魔法にとり憑かれて街へ出かける、そしてレコードを聴き続ける。・・・いつでも頭の中では音楽が鳴っていて、どんな出来事が起ころうとも、それだけはずっとそばに在る気がする。夜道が怖い時に口ずさむハナウタみたいに、何が起こってもそれは必ず私のそばに在る。それだけで心強く、嬉しくなってしまうような。

「明日は何かわくわくする事が待ちうけているのかも！」 と思いながら眠りにつくなんて相当おめでたいけれど、、、でも、ここから聴こえる音たちが持つ魔法にやられてしまったなら、そんな普段なら考え付きもしない夢みたいな事だって簡単に思い浮かんでしまう。そういう力を持つ音が一つに集まってしまったカセットテープ。・・・今こうして寒い冬を過ごす私たちの元へ、そんな贈り物が galaxy train から届きました。カセットテープを発明してくれた偉い人と、こんな音を生み出してしまった男の子・女の子たちの想像力にありがとう。

この galaxy Xmas に集まった17曲は、まさに”今・ここで・ポップライフをおくっている”からこそ聴ける、幸せな音の結晶たち。偉大な先人たちが創った素晴らしい音楽を聴いた時にいつも思う、「あー、ここがこの当時のアメリカやイギリスだったなら！」・・・でももう、そんなかなえられない遠くの出来事に思いを馳せたりしなくても大丈夫。私たちは、2000年を迎えようとしている日本に住んでいて、世界中からここに一つに集まった音楽は、今私たちのそばにある。それは何よりもすてきな事じゃない？ 奏でる音はそれぞれ少しずつ違っていても、それぞれが持つ魔法は同じ空気をはらんでいて、それは私たちにとって同じくらい甘くキラキラ夢っぽい。

クリスマスの夜には枕もとにくつ下を置いて、魔法が生まれるのを楽しみに待っていた。待ち遠しくてなかなか眠れなかった。「もうあんな気持ちになれる事なんか無いかも」と、あの頃をなつかしく思えるくらい大人になった今、でも、今もこうして魔法が生まれる瞬間を目撃できるなんて！ これだから私はいつだって音楽に夢中で離れられないんだと思う。そして彼らが生み出す魔法に、私はいつもどきどきしているのだ。

....We wish you a Merry Christmas !

佐々木 桂